- 店長:井上
- キャンプ、登⼭とアウトドアが好きで、特にアンティークやビンテージギアが⼤好物です! ⼩学⽣の頃から川で⿂を銛で突き⾷べる(ブッシュクラフト?笑)ことからはじめ、テントを設営しギアを使い楽しむまでになりました! ⽼後の⼭籠り⽣活を⽬標に勉強中です。
2021年 11月6日 世界谷地の古道から晩秋の静かな山歩きを楽しんで来ました!
天気:【 スタート時 :晴れ 】【 昼時/虚空蔵山 :小雨】【 下山時:晴れ 小雨 】
気温:スタート(630m付近)3度 山頂:昼時(1,400m付近)3度 高気温:11度
風速: (1,600m付近) 1m~5m
山とエコの井戸です!
晩秋の落葉と間もなく深い雪に閉ざされる栗駒古道と少し早いですが今年も無事に山業を楽しめたことに感謝し栗駒「御室」にお参りをする20キロのトレイルに行って来ました!!
高山植物の宝庫 世界谷地原生花園とは?
世界谷地とは広い湿原という意味です。標高1,626メートルの栗駒山の標高669~707メートル地帯に広がる細長い湿原で面積は14.34ヘクタール。栗駒山の緩やかな南斜面の標高1,154.9メートルの大地森と標高869.4メートルの揚石山の間にあります。
世界谷地原生花園は、上・中・下の3段に分かれて広がる4つのグループ大小8つの湿原からなりその間を幅50メートルものブナの原生林が横断しています。この湿原は深さ1.3メートルの泥炭層の上をミズゴケ類の厚い層が覆っておりその表面に高山植物が群生しています。世界谷地原生花園では5月のミズバショウから9月のエゾオヤマリンドウまで数多くの花々が咲きます。特に6月下旬に咲くニッコウキスゲの大群生は全国的に有名で湿原が黄色やオレンジ色の花に覆われて美しい風景が見られます。
施設情報
駐車場から湿原までの距離 | 第一湿原まで約0.5キロメートル(徒歩で約15分) 第二湿原まで約1.2キロメートル(徒歩で約25分) |
駐車場 | 普通駐車場:60台程度 大型バス駐車場:10台程度 |
トイレ | あり |
入園料 | 無料 |
冬期 | 降雪 路面凍結のため閉園 |
交通アクセス | JR東日本くりこま高原駅から自動車で約1時間10分 東北自動車道若柳金成 から 自動車で約50分 |
世界谷地原生園 花こよみ
5月~6月 | ショウジョウバカマ・チゴユリ・コバイケソウ |
5月~7月 | ミズバショウ・ミツガシワ・ワタスゲ・ウラジロヨウラク |
6月 | ムラサキヤシオ |
6月~7月 | ニッコウキスゲ・タテヤマリンドウ・サラサドウダン・レンゲツツジ |
7月 | サワラン・ツルコケモモ・トキソウ |
7月から9月 | シロヤツボ・キンコウカ・イワショウブ・ウメバチソウ |
8月 | ミズギク |
8月から9月 | サワギキョウ・イワショウブ・エゾオヤマリンドウ・コバキボウシ |
栗駒古道とは?
栗駒古道は蝦夷・冶金族・修験者、山人(マタギ)等の自然道として羽州(秋田)に通じる道として始まりその歴史は古く時代とともに其の呼び名も変わるので総称の呼び名を「栗駒古道」と呼びます。
古代~中世は秋田仙北地方に通じる道であることから「仙北道」と呼ばれていたようです。
✓前 9 年の役の鬼切部の戦い「安部貞任の栗駒越え」 1051 年
✓源義家、仙北地方の豪族清原氏に征討協力要請 1060 年~1062 年
✓横手の清原氏 1 万 5 千騎栗駒越え屯が岡に集結 1062 年
江戸時代になると秋田小安~陸前沼倉・文字間は「上ば道」と呼ばれ一里塚・お助け小屋等が整備され羽州~陸前間最大の交通量になり冬も利用した強力(荷請人)もおりました。
小屋は木立・前坂・秣・大地・渡し・孫の 6 ヶ所。
一里塚…岩ケ崎/若木/桟敷田/大峯前/日影/万坊平/前坂/大地/小檜/田代長根
世界谷地から古道を抜けて千年クロベまでの人気のピストンコースの紹介
世界谷地 原生花園の駐車場から1000年続く栗駒古道のブナ林を抜け氷河を生き抜いた樹木「千年クロベ」を観て引き返す(ピストン)コースがスタンダードなコースになります。
✓世界谷地駐車場: 標高633m
✓最高到達 : 標高894m
✓往復距離 : 13.4km
✓時間(休憩60分含)4時間30分
累積標高差 : 640m
コースの特徴
✓林道は広くとても歩きやすく気持ちよくブナ林を歩けます。
✓沢を2つ渡歩します。ゲーター&トレッキングポールが必要です。
✓熊の縄張りを歩きます。熊鈴やラジオは必ず携帯しましょう。
距離は10キロを超えますが累積標高差が少なく地場も腐葉土で柔らかいために足の負担がかからず登山初心者におすすめのコースです。
今回の山業紹介(千年クロベ・栗駒古道・大地森・御室・虚空蔵山)
今回の目的は間もなく花山から湯沢に抜ける国道396号線が冬季閉鎖になるため栗駒山南麓からのアプローチが来春まで不能となることから南麓の広大なブナ林の落葉を踏みながら栗駒山の御室(おむろ)からの晩秋の景色を眺め今年も一年無事に山業が出来たことに感謝しお参りをすることが目的となります。
登山地図と行程表
国道398号駐車場から三浦旅館から湯浜コースに入り古道の森の分岐点から千年クロベを経由し大地森を抜け御室に向かいました。虚空蔵山(こくぞうさん)を経由し湯浜コースに戻る三角周遊となります。
距離 | 三角周回20km |
登山口標高 | 670m |
最高到達点 | 956m |
累積標高差 | 約1,219m |
難易度 | 体力 ★★ ★ ☆☆ 技術 ★☆☆☆☆ 危険 ★★☆☆☆ |
その他の情報 | 水場 なし 鎖場/ロープ あり |
携帯電話 | Docomo 一部のみ au 一部のみ Softbank 一部のみ |
行程表
【標準所要時間】 10時間10分 / 休憩120分
(コースタイム倍率0.8やや速/ 休憩含)
AM6:00
AM:6:15 標高637m(登山届 おトイレ 出発準備)
AM7:00 標高844m
AM8:15 標高841m
AM:920 標高792m
AM11:30 標高1291m-1377m
PM13:00標高1357m
PM13:30
PM15:00温泉入浴
PM16:10
上部の岩稜帯には駒形根神社奥の院が鎮座しています。5月の残雪期には馬の形に観える駒姿と呼ばれる地帯の馬の背に当たる場所になります。雪解けから高山植物が咲き始め楽しめます。秋からは黄金色に染まった素晴らしい景色が楽しめます。
いざ山へ!!
スタートは日の出少し前の朝6時。ヘッドランプを装着し栗駒山湯浜コース玄関口の国道398号駐車場をスタートします。【行程表番号と写真番号はリンクしてます♫】
① ②
湯浜温泉から1km、まずは山神様に道中の安全をお願いします 。
相ノ沢を渡り湯浜コースから大地森へ向かう分岐点「古道の森コース」でまずは軽く休憩。体が温まったところで各自着衣の調整と全員の体調の確認。そして巨木なブナの「古道の森コース」へ。まずは「千年クロベ」に向かいます。
③ ③
③ ③
千年クロベの分岐点までは多少のアップダウンを数回繰り返しながら小さな沢を都度渡ります。10月中頃は標高1000m付近からは冷え込むと雪が多少積もっている場合も多々あります。日中の気温の上昇で雪解け水が沢に流れ込んで思っているよりも水量がありますので注意が必要です。
③古道と千年クロベ分岐点 ④分岐から間もなく小桧沢を渡ります
分岐から5分も歩くと直ぐにコンクリートで作られた小桧沢2号橋を渡ります。橋の上からは沢を泳ぐ岩魚がはっきり見えます!!橋の上でザックを下ろし休憩と景色を楽しむ絶好のスポットです。
橋で行動食をとり再び歩き始めます。千年クロベはもうすぐです!
その前に放置された新しめの軽トラックが…
平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震の爪痕
今も残されているこの軽トラックは平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震当時この場で作業をしていた方がこの場に残したものです。どんなに恐ろしかったでしょうね…。
僕は栗駒山の山岳救助隊の方や湯浜コースの玄関口でもある三浦旅館の大旦那様などから当時の状況を詳しくお聞きしています。地震はもう10年前…復旧が進んだ栗駒山麓ですが当時の爪痕はまだまだあります。地震前までは小桧沢2号橋から下流まで車が通れる林道がありましたが現在は千年クロベから下流は人が入れない状況です。その他も立ち入り禁止区域が広大な面積でまだまだあります。
岩手・宮城内陸地震 とは?
東北地方を襲ったM7.2の巨大地震です。山間部では未曾有の土砂災害多となりました…。6月14日8時43分頃岩手県内陸南部の深さ約8kmを震源とするマグニチュード7.2の地震が発生しました。宮城県栗原市・岩手県奥州市で震度6強・宮城県大崎市で震度6弱を観測し東北地方を中心に北海道から関東・中部地方にかけて震度5強~1を観測し各地に大きな被害をもたらしました。
人的被害:死者13人 | 行方不明者10人 | 負傷者451人 |
住家被害 : 全壊30棟 | 半壊143棟 | 一部破損2380棟 |
そして「千年クロベ」へ
クロベはヒノキ科クロベ属でヒノキの遠い親戚ということになるのかな…。呼び名は黒っぽいヒノキ(黒檜)の意味からきているというのが有力だそうです。別名はネズコ(鼠子)で樹皮が灰褐色に近いのでねずみ色を連想させるからそういう名がついたといわれています。日本固有の希少な樹木で西日本では見られないようです。成長が遅いが腐りにくく寒さにもよく耐える強い木だそうだで氷河期を生き抜いた樹木は一見の価値あり!です。千年クロベの周辺には数本500年クラスのクロベもありますが栗駒山麓のクロベが発見されたのは実はここ10年ほどです。周辺にはまだ千年を超えるクロベがあるかも知れませんね。僕が見つけてたら名前を付けてもいいと言われております 笑)。
写真: 初夏の千年クロベ 2021年6月 井戸
千年クロベから古道の森コースに戻ります。次のポイント地点は大字森へ向かう分岐点になります。そしてここは熊さんの出没地帯でもあります。熊の餌の餌が豊富で水場も多数あり熊鈴や笛は必ず用意しましょう。
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狩猟の鉈は「剣鉈」になりますので刃の形状を含めて違いますが鉈がトレッキングポールの先に差し込めるので「最悪戦える?」そうです。でも刺したら鉈とボールが分離するので当然オススメはしません(爆)。
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沢を2つ渡ります!!
千年クロベから大字森分岐点までは沢を2つ超えます。
小桧沢と大字沢になります。水の勢いと沢幅は大字沢のほうが大きいです。両沢の間にも肩幅ほどの沢がいくつかあります。両方の沢にはロープがけけてありますが、水量が多い所に張っておりますのでロープは使わないほうがいいでしょう。
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古道分岐地点から栗駒山方面へ(大字森から御室へ)
そして大字森への分岐点へ。ここは江戸時代までさかのぼります。古道は岩手・秋田へ抜ける重要な道でしたので「お助け小屋」と呼ばれる今で言う長屋作りの宿泊地跡地になります。現在は登山者の休憩場所としてテーブルと椅子が備え付けており当時を偲ぶ石碑があります。戊辰戦争では伊達軍がここから馬を引いて北上したそうです。
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行動食を流し込みここから大字森をまず目指します。なだらかな登山道はここまでで一気に標高を700メートル上げて行きます。
⑥ ⑥大字森山頂下より
行程地図からも読み取れるように大字森の中腹をトラバース(横切り)しながら登って行きます。大字森山頂直下からは木々の合間から栗駒山が見えます。
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御室
大字森から御室にむかいます。大字森を下り切ると目の前に虚空蔵山が現れます。御室へは写真の虚空蔵山右回りで向かいます。笹薮に挟まれた登山道を抜けると一気に視界が広がります!グリーンシーズンは高山植物に覆われる地帯です。
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御室は正面岩壁にあります
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下草と岩場の間を抜け岸壁に作られた御室にお参りします。張り出した岩場で雨風を防ぎなが腰を下ろし行動食を補給します。
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虚空蔵山へ
みぞれ模様の中で足場に注意しながら北側にトラバースしながら栗駒山と虚空蔵山の分岐に向かいます。(湯浜コース)
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虚空蔵山と湯浜コースの分岐点に出ました。虚空蔵山への登山道はご覧のとおり荒れております 笑)。虚空蔵山で検索すると宮城県では山としてWeb上では出てこないんです。他県ばかり出てきます…。理由は大人の事情でして…現在登山道は閉鎖状態になっております。日の入りの時間と残りの体力を考えて男性陣2人はザックを分岐点にデポし女性陣2人は井戸が引き受け先に下山方向へ向かいます。高性能トランシーバーを今回も2台アイテムとして持参していますので合流地点の打ち合わせをしてお別れします。
湯浜コース下山
3人で湯浜コースを下ります。木道は先週降り積もった雪が溶けてツルツルです。残雪を想定してチェーンスパイクと軽アイゼンは持参しておりますが出番はありませんでした。60分ほどで虚空蔵山に向かった2人と合流(めちゃ速いです!)し長い下りの湯浜コースのブナ林を下ります。ブナの木はすっかり葉を落としています。雨があがり虹が見えます!
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予定どうりの時間に登山口である三浦旅館に無事到着。今シーズン最終営業日とのことでしたが露天風呂で汗を流します。来シーズンの栗駒山麓の山開きは5月中旬です。山開きに合わせてまた来ます!!
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